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岳南朝日新聞11月掲載されました



11月は佐野かおり

【お母さん自身の幸せとは?ハハラッチ事業ができること】をテーマに書きました。

以下より全文お読みいただけますので、ぜひ読んでみてください。


◆ふじのみやハハラッチ事業をご存じですか?

2016年にスタートした、富士宮市とNPO法人母力向上委員会の協働事業「ふじのみやハハラッチ」が、今年活動を開始して7年目を迎えました。ふじのみやハハラッチとは、富士宮で子育てしているお母さんたちが、写真の撮り方や文章の書き方などをプロのカメラマンやライターに教わり、ホームページで富士宮の情報を発信する事業です。募集は年に1度。お子さんの成長とともにお母さんたちの時間の使い方も変わってくるので卒業したメンバーもいますが、今までに41名のお母さんをライターとして養成してきました。そして今年も9月から第7期生として現在8名のお母さんたちが学んでいます。



◆ハハラッチ事業の目的

富士宮の情報を発信することから、タウンセールス目的の事業と思われる方が多いのですが、このハハラッチ事業の本当の目的は「女性の活躍推進」です。結婚や妊娠、出産をきっかけに女性は仕事をやめたり休んだりして生活環境が一変します。子ども最優先の生活になったことで、友達と遊びに行ったり、映画を見たり、カフェでくつろいだり、今まで当たり前に気軽に出来ていたことが出来なくなる・・・。そして気が付くと「できないこと」ばかりが気になって、気持ちがどんどん沈んでしまうお母さんもいます。そんな負の連鎖に陥ってしまうお母さんたちを一人でも減らしたい。「子どもがいるからこそ出来ること」を増やしたいという気持ちで、ふじのみやハハラッチ事業はスタートしました。



◆お母さんたちの動機

私はこのふじのみやハハラッチ事業のリーダーをしています。私には中3と小6の子どもがおります。子どもたちが幼稚園に通っていた頃、子育てに不安や悩みをたくさん抱えながら生活していました。母力向上委員会の活動に触れたことがきっかけで、子育てについていろいろ学ぶ機会を得て不安を取り除くことができ、今では毎日が楽しく感じられるようになりました。たくさんの出会いや学びの中で、最近なるほどと思ったことに、幸福学研究の第一人者で慶應義塾大学大学院教授、前野隆司さんのお話があります。

『視野が狭い人より、広い人の方が幸せ。自分のことばかり考えている人より、世界平和や世界の貧困問題などを考えている人の方が幸せ。自分の利益のことばかり考えている人より、周りの人のために社会貢献したいと思っている人の方が幸せ。家でのんびりしてやる気のない人より、仕事や勉強にやる気のある人の方が幸せ』というお話でした。このお話を聴いたときに、ハハラッチに応募してきたお母さんたちの志望動機を思い出しました。「誰かのためになる活動をしたい」「富士宮に移住してきて、べビ*ステに恩恵を受けた。今度は自分ができることを誰かのためにしたい」「知らない土地での生活にホームシックになってしまった。これからは同じ悩みを抱えている人のサポートをしたい」など、ライターに応募してくるお母さんたちは、自分たちのスキルを磨きたいだけではなく、幼い子どもがいながらも『誰かのために自分ができること』を探しているのです。子ども中心の生活であっても『誰かの役に立っている』感覚がお母さんたちに幸福感をもたらすのだなと気づかされました。お母さんたち自身が楽しめる場の提供ばかり意識していましたが、本当に参加してよかったとお母さんたちが実感するのには「誰かの役に立てた」という感覚を持ってもらうことも必要なのかもしれません。そして、学ぶことでスキルを身に着け、さらに自己肯定感が高まっていくのだと思うのです。



◆お母さんの状態が子に影響

子どものことに100%力を注ぎ、ちゃんと子育てしなければと強く意識しすぎると、お母さんに余裕がなくなり笑顔も少なくなってしまいます。あるSNSで見つけた言葉を最後にご紹介します。

「子どもに笑ってほしい時は自分が笑えているかと自問し、子どもに安心してもらいたい時は、自分は安心できているかと自問する。(中略)子どもの幸せを願う時にこそ、自分の今を確認することが大切だ」自己肯定感の高い親をもつ子どもは自己肯定感が高くなると言われています。お母さんだって自分のために過ごす時間があっていい。自分で考えて行動する時間があっていい。それを叶えてくれる周りのサポートもお母さんの大きな支えになります。私は、「いいお母さんになるための方法」より「お母さん自身が楽しいと感じる瞬間」をたくさん生み出していきたいと考えています。誰かの役に立ちたいと思ったお母さんの気持ちを受け止める「ふじのみやハハラッチ」事業もそのひとつだと思っています。


文責 佐野かおり



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