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岳南朝日新聞11月掲載されました

11月は 伊藤千恵が

『地域のママたちを支える』をテーマに書きました。


以下より全文お読みいただけますので、ぜひ読んでみてください。


『子どもを預けてゆったりと過ごしたい、美味しいご飯が食べたい。』

この言葉を聞いてどう感じますか。この母力向上委員会で個別産後ケア事業を始めて3ヶ月が経とうとしていますが、利用する多くの母親たちが同じことを言います。




◆産後の現実

私も1人目の出産後、夜間の授乳による睡眠不足や、身体がまだ産前のように動かないもどかしさを感じながら、こんなに疲れて育児をしているのは自分だけではないだろうか、と何度も思っていました。今やSNSでいろんな育児情報を集めることができる。そこには、しっかりとした身なりをした綺麗なママが、おしゃれな服を子どもに着せてお出かけしているキラキラとした産後の生活が散りばめられている。そんなキラキラとした産後の生活とはかけ離れた、家は掃除もできず荒れ果て、ご飯も作れる余裕がない生活を送っている自分はダメな母親だとさえ感じてしまう瞬間もありました。一般的に産後2ヶ月は身体を休めながらの育児をするように勧められていますが、私の場合その2ヶ月はなんとか頑張れました。しかし産後3ヶ月以降、どっと今まで無理してきた疲労が襲ってきます。自分の察してほしい気持ちに気づいてもらえない等パートナーに対する苛立ちや、睡眠不足の中やることがいっぱいで心の余裕がないことが続き、泣き出してしまうことさえありました。




◆産後ケアとは

平成27年に厚生労働省が産後ケア事業をすすめるよう市町村に働きかけ、今や全国の約8割の市町村が産後ケア事業を実施しています。

市町村ですすめられる産後ケア事業は基本的には病院や産院、助産院など医療機関でケアを受けることができます。




◆産後ケアがすすめられる背景

 日本における周産期死亡の原因として最も多い死亡原因を知っていますか?分娩時に起きるものはごくわずかで、大きな割合を占めるのが産後の母親の自殺です。

 時代の変化と共に、子育ても日々変化しているように思います。今や子育て家庭の共働きは約8割、育児と仕事の両立を求められる世の中。晩婚化により祖父母になる世代の年齢も上がり、積極的なサポートを受けられない人もいます。様々なネットワークが広がり沢山の欲しい情報を手に入れられる一方で、孤独を感じる子育てに悩まされる人が多くいます。




◆地域のママを支える

今年度は、母力向上委員会が厚生労働省・こども家庭庁所管の独立行政法人である独立行政法人社会福祉医療機構に選ばれ、助成金を活用することで利用者の自己負担を抑えながら産後ケア事業を行うことができている。個別産後ケア『Chill(チル)』として、デイケアという通所型の産後ケアを提供しています。始めた当初は、空いている日にちもありましたが、現在ではキャンセル待ちの状態が続いています。さぁどぷれいすSAN内に滞在する形をとっており、助産師が常におりケアを行うとともにサポートスタッフとして看護師や先輩お母さんたちが協力して運営しています。ケアの内容も様々で、母乳ケアや骨盤ケアなどの専門職が行うものや、ゆったりと1人の入浴時間を作るなど休息が取れるよう子どもの預かりも行っています。

 現在の食事提供は、地域の産後ヘルパー事業などで活躍している調理のプロが担当します。なかなか産後ヘルパー事業とあっても利用するのにハードルが高いと感じる方もいるため、サポートしたい側と利用したい人を繋げる場としての役割も担っています。友人同士での利用などの受け入れも行っており、一緒にわいわいと食事をしている風景も見られ賑やかな1日になることもあります。

 産後ケアというと、自分はその対象ではないのではないかと感じる母親もいます。しかし、ぜひ自分軸で考えてほしい。はじめに投げかけた『子どもを預けてゆったりと過ごしたい、美味しいご飯が食べたい。』ということは、皆どこかしら感じていることではないか。有難いことにこの地域にはママたちの笑顔が見たい、支えたい、というサポーターがたくさんいる。その言葉に甘えてみることも大切な母親としての力なのだと思います。

今後も、母力向上委員会として産後ケアに携わりながら、この地域のママたちの笑顔が増えていくことのお手伝いをしていきたいと思います。


文責 伊藤 千恵

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