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岳南朝日新聞3月掲載されました

最終更新: 4月6日

毎月第2木曜日、岳南朝日新聞に母力コラムを掲載いただいています。 コラムタイトルは「母に必要なチカラって何だろう?」です。

3月はメンバーの渡邉沙絢が子育て世代の選択肢について書きました。

以下より全文お読みいただけますのでぜひ読んでみてください。







子育て世代に様々な選択肢を

私は出産と同時に富士宮に引っ越してきました。当時は不慣れな土地・車社会にまだ適応していないまま初めての子育てに突入し、自分の親族はおろか友人や知人もいないまま日々試行錯誤していました。


▼未知の土地で広がったコミュニティ

 夫や夫の家族だけが頼りになる中で、人見知りの私が思い切って参加したのは母力向上委員会の講座。やがて受講者ではなく、メンバーの一人としていろいろな活動に参加させてもらうようになり、それと同時に友達ともママ友とも少し違う、「母たちのコミュニティ」が広がっていきました。お互いに世代も出身地も好みも異なり、子どもの年齢や学区すらも別々の母たちが、責任や信頼をベースに共に事業を運営していく距離感がとても心地よく感じました。人見知りで新しい環境が苦手な私でも、無理に仲良くならなくとも任された仕事に集中すればよく、でも仕事を重ねていく中で自然とメンバーとの距離も近くなる、そんな環境に巡り会えたことに感謝しました。地元の情報や子育ての知恵を教えてもらうことも大きな手助けとなりましたが、家族以外のコミュニティで自分が必要とされ、また自分が頼ってもよいコミュニティがある安心感は、とても大きなことでした。


▼母としてだけではない刺激と成長

 また、そのようなコミュニティとしての存在価値だけではなく、メンバーのバラエティに助けられることも多くありました。母力向上委員会には様々な経験を持つメンバーがおり、親として、社会人として、人間として色々なことを学べていると感じています。こういう生き方に憧れるな、こういう人柄が素敵だな、と感じられることは、人生の刺激になります。最初は子育てに精一杯で子育ての相談ばかりしていた私も、やがては人生や、親としてどういう人間でありたいかなど、深いところまで相談するようになりました。

 ある日突然事務所に転がり込み、泣きながら自分の不安を吐き出したこともありました。親にも友人にも言えないことを吐き出させてくれたこと、そしてそれを温かく受け入れてくれたことは言葉で表すことが難しい出来事ですが、心が満たされるような感覚は今でもはっきり覚えています。他にもささいなコミュニケーションや一緒に仕事をする時間の中で、褒められたり頼られたりすることで、今まで気づかなかった自分の長所や個性の発見があり、まるで親に育て伸ばされる子どものように「自分の気持ちや意思」をしっかり認識し、「自分らしく生きる」ステップを少しずつ上っていくようでした。

2年半ほど母力向上委員会で活動させてもらいましたが、今年度で卒業することになりました。矛盾するようですが、母力向上委員会にいたからこそできた変化だと思っています。この2年半の間で自分の「心の声」を引っ張り出してもらい、「こういう生き方をしたい」とはっきり認識できるようになったことで、新しいことに挑戦できたからです。そういった人生の変化は、子育てや家族にもよい影響があると感じています。時間的な都合と私の不器用さで両立することが難しいので卒業という形を選びましたが、メンバーが背中を押してくれたこと、「またいつでも頼ってね」と言ってくれたことがとても嬉しかったです。


▼富士・富士宮の子育ての味方

 自分が母となってから4年しか経っていませんが、子育ては一人でできるものではないと思います。もっと言えば、夫婦だけでできるものでもないと思います。しかし、この数十年間、他の先進国は家事・育児・介護の負担を減らす「ケアの公共化・市場化」の政策を進めてきた一方で、日本の国の支援は変わらず不十分なまま。子育て世代は未だに選択肢が少なく、親族ネットワークに頼ることが解決策となっていることが多いようです。しかし、母力向上委員会のような、子どもと一緒に頼れる存在があれば、親族ネットワークの有無にかかわらず選択肢を増やすことができます。心の拠りどころとしてのソフト面や、家事代行や預かり保育などのハード面でも、相談を持ちかければ何か返してくれるのが母力向上委員会の強みです。メンバーでなくても頼ることはできますから、富士・富士宮市に住む子育て世代のみなさんには、ぜひ子育て支援の選択肢の一つにして欲しいなと思います。



文・写真:渡邉沙絢