岳南朝日新聞9月掲載されました

毎月第2木曜日、岳南朝日新聞に母力コラムを掲載いただいています。 コラムタイトルは「母に必要なチカラって何だろう?」です。

9月はメンバーの木田美早が『コロナ禍でも地域で子どもを育てる』をテーマに書きました。

以下より全文お読みいただけますので、ぜひ読んでみてください。





コロナ禍でも地域で子どもを育てる


コロナが与えた影響

私には2歳の子どもがいます。第1子でしたが、近くに頼れる実母や、元保育士で先輩ママでもある妹、同じ時期に出産をした友人が数人おり、特に困ることもなく楽しく子育てしていました。息子がまだ赤ちゃんの頃、成長していく姿に想像を巡らせては、『1歳の誕生日には一緒にディズニーランドに行きたいな、泊りで旅行もしたいな。』などと夢見ていました。歩けるようになったら色々なところへ遊びに連れて行ってあげたい。そんな風に思っていました。

しかしその矢先、息子がまだ生後8カ月でハイハイ期だった去年の3月頃。新型コロナウィルスについて騒がれ始めました。そしてその翌月の4月、緊急事態宣言が発令されました。誰もが前代未聞の出来事に戸惑っていたことでしょう。もちろん私もそのうちの一人。未知のウィルスへの恐怖、この子をなんとしてでも守らなくては…という重責から、家から出るのが怖くなりました。それまで利用していた子育て支援センターやサロン、図書館の読み聞かせの時間も中止。貴重な息抜きの時間となっていた友人と会うこともできなくなり、まるで地域とのコミュニティを全て断たれてしまったような、そんな気持ちになりました。


ご近所さんの一言に救われた

家から出られない日々。まだ話すこともできないわが子と、ほぼ一日中二人きり。そんな私の唯一の気分転換が、当時住んでいたアパートの2階の部屋のベランダに出て、空を見ながら外の空気に触れることでした。ある日、いつものように息子を抱っこしてベランダから外を眺めていると、ベランダの目の前に位置するお家の方がご自宅の庭に出ており、庭から私と息子のいる2階へ向かって「何ヵ月?」と声をかけてくれました。私の親より少し上の世代くらいの優しそうなご夫婦でした。コロナにより強い閉塞感を感じていた当時の私にとって、昼間に大人と会話をすることはものすごく貴重で、その一言で人との繋がりを感じることができた瞬間でした。

それからご夫婦とのやり取りが始まりました。洗濯物の出し入れの際に顔を合わせると挨拶を交わしたり、ちょっとした会話をしたりするようになりました。ご夫婦は息子の名前をすぐに覚えて、あだ名で呼んでくれました。その一言、二言のやり取りで、「自分は一人で子育てしているのではない、ちゃんと地域の人と繋がっている。」と思うことができました。


『人との繋がり』の大切さ

その後、そのアパートからは引っ越すこととなりました。今は親子共に同世代の方が多く、以前とはまた違った環境で暮らしています。子どもたち同士はすぐに打ち解け合い一緒に遊びます。子どものおかげで私たち親同士も自然と会話をするようになり、ご近所さんにママ友が数人できました。まだまだコロナ禍の生活に終わりが見えず、人との関わりや移動に制限がある今、近所で一緒に遊べるお友達や、会話のできるママ友をよりありがたい存在に感じます。ここまでの関係を築いたのは、日々の挨拶や会話の積み重ねです。基本的なことが人間関係を作っていくのだと子育てをするなかで学びました。


子どもたちの未来のために

今は核家族が多く、共働きで家にいる時間の少ない家庭も多いのではないかと思います。昔に比べたら近所付き合いや、地域との関わりが希薄になっている時代かもしれません。さらにコロナによって、家族やいつも一緒にいる人以外との関わりが難しくなってしまいました。ですが、子育ては夫婦二人ではできません。地域の方々が見守ってくれるその目や、「かわいいね。」「何歳?」などとかけてくれる優しい声、ちょっとした挨拶、それは私たち子育て世代にとってとても心強いものです。特に子どもがまだ小さく、日中二人きりで過ごしているママは孤独を感じやすいです。そんなときにかけてもらえる優しい声にはきっと勇気づけられ、励みとなることでしょう。窮屈な時代になっても、子どもたちにはのびのびと育っていってほしいと切に願います。これから未来を担っていく子どもたち、そして今子育てに奮闘している私たち子育て世代を、家庭だけでなく地域全体で見守り、応援してもらえるとうれしいです。


写真・文章 木田美早