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岳南朝日新聞1月掲載されました


1月は伊藤 千恵

『家族みんなで新しい命を迎えたい』~自宅出産を選択した私の想い~

をテーマに書きました。

以下より全文お読みいただけますので、ぜひ読んでみてください。


2022年の7月。次男を自宅の和室で産みました。

夫にあぐらをかいてもらい、その組んだ足に私はもたれかかるように頭を乗せ、横向きのまま出産の時を迎えました。両足を閉じたままでも出てこれる赤ちゃんのパワーに驚きつつ、お腹の張りとともに自然といきみが入り、お腹の中の赤ちゃんが出てこようとしているのを感じられるお産でした。もうじき2歳になる長男もその空間にいて、私のいつもとは違う様子に泣くこともありましたが、産まれたときには泣き止み、産まれたばかりの赤ちゃんに自らすすんで手を伸ばす様子もありました。


傍で私の母が台所に立ち赤飯のおにぎりを握り、足元には4人の助産師さんたちが息のあったチームワークで動いています。そこには緊張感や不安はなく、安堵や安心感、満たされた幸福感でいっぱいでした。「ああ、またすぐ産めそうだ」そんな想いを感じさせてもらえるお産を経験しました。


私がなぜ自宅で産もうと思ったのか、それは『家族みんなで新しい命を迎えたかったから』というシンプルな答えからでした。


世の中はコロナ禍、面会できない診療所も多く、お産を迎える家族にとってはいろいろと制限が多いように感じていました。2020年に長男を産んだときは助産所の施設内でのお産で、家族や知人に囲まれとても幸せなお産を経験しました。今回もそのような空間でお産がしたいという私の気持ちを夫や家族が理解し快諾してくれました。また、自宅という場所を選んだ理由は、幼い長男が緊張しない、安心できる場所というのが決めてとなりました。




【安心できる妊娠期】

妊娠中の健診も基本的には自宅で行います。いつも話しすぎてしまい1時間以上かかってしまう健診は、助産師さんたちに私の身体の状態や赤ちゃんの成長や体勢をみてもらいながら、どんなお産にしたいかワクワクしながら話を進めていきます。もちろん病院の医師に赤ちゃんの状態を診てもらうタイミングもあります。順調に育っていく赤ちゃんや私自身の変化していく体を沢山の目でみてもらうことで、安心しながら妊娠期間を過ごすことが出来ました。2人目育児が始まる不安もたくさん抱えながらの妊娠期でしたが、助産師さんたち自身も子育て世代ということもあり、具体的に相談に乗っていただけたのがとてもありがたく感じました。




【様々なお産の選択】

私の父が『自分の妹が生まれたときは、産婆さんを家に呼んだ記憶があるな。』と話しているほど、日本では当たり前の光景だった自宅でのお産。

それが、この60〜70年の年月で当たり前ではなくなりました。今や自宅分娩の割合は0.2%とごくわずかなものになってしまいました。

もしかしたら、私は一般的ではないお産の選択をしたのかもしれません。でも、自分自身がどうしたら安心して過ごせるのか、家族と話し合い、妊娠期という母になるまでの期間を地域の助産師さんとともに歩むことを選びました。それにより、自分で産む力を養うことができたように思えます。




【地域の専門家との出会い】

子育ての中にもたくさんの情報が溢れている現代、様々な選択肢を選びながら自分なりの育児をしていく難しさを日々感じています。

赤ちゃんのために、子どものためにと精一杯考えているパパやママはたくさんいます。そんな時に頼りになる専門家と出会えたら、今までやってきた自分なりの育児に自信がついたり、少し修正したりできると思います。


その出会い方は様々で、今やSNSで専門家と繋がれることも多くあります。でも、もっと地域に目を向けてほしいと思います。富士宮市の地域には、助産院があり、母力向上委員会をはじめとした専門知識をもった人たちがパパやママの支援を行っています。母になる女性が、地域の専門家とつながり出会えたら、自らの生き方や働き方、子育てについてちゃんと自信を持って選び取れるに違いないと思います。




文責 伊藤 千恵

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